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Column コラム

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2016.04.25

◎緊急時に必要な情報とは?◎
◎会社でも役立つ!いざという時の組織力が高まる◎

第1回 災害時に必要になる情報

災害などの緊急時に必要になる情報とはどのようなものでしょうか?一般市民と企業、あるいは被害を抑えようと救助・救出にあたる消防や自治体など行政の方々では必要になる情報はどのように異なるのでしょう?
こうした情報の違いを理解することで、災害や危機による被害を軽減することができたり、災害や危機の発生時にも迅速に動けるようになると思います。
今回からシリーズで、災害あるいは緊急時における情報の重要性について解説をしていきます。

リスク対策.com 編集長 中澤幸介

彼を知り己を知れば百戦殆うからず

孫子の有名な言葉である「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」は、改めて説明するまでもありませんが「敵についても味方についても情勢をしっかり把握していれば、幾度戦っても敗れることはない」ということを説いています。
災害や危機についても同じことが言えると思います。考えやすいように災害を例に統一させていただきますが、「彼」とは災害の場合、災害による脅威そのものを意味します。
災害の脅威を正しく知るということです。
地震なら、どのような場所で地震が起きればどの程度揺れるのか、その揺れによってどのような事態が引き起こされるのか。

これに対し、「己」とは、自分がどのような脆弱性をもっているのか(あるいはどのような備えをしているか)、地震の揺れによりどのような被害を受け得るのか、被害を受けた際どう行動するかをしっかり知っておくということです。
これらは事前対策として被害を軽減させる上でとても大切なことです。
ただし、市民、企業、行政など立場によって、知っておくべき情報の範囲は異なってきます。
市民ならまず自分の家のある場所がどのような揺れになるのか、自分の家がどのような被害を受けるのか、あるいは家族の勤務先や小学校はどこでどういう被害を受けるのか、避難場所はどこで、どういうふうに集まるのかなど身近な情報をまずは知っておく必要があるでしょう。

企業でも本社や支店の所在地がどのような揺れになるのか、どのような被害を受けるのか。
さらに、自社の製品に必要な部品を他から仕入れている場合、その取引先がどの程度被災する可能性があるかまで調査している会社もあります。
ただし、すべての従業員の家の場所の揺れや被害までは確認できないでしょうから、そこは従業員に任せるしかありません。

消防や自治体の場合、基本的に自分の行政区の揺れや、被災想定ということになりますが、それだけ知っておけばいいというわけでもありません。
その自治体全体が密集地で火災になることが想定されたり、洪水で水に浸かるか可能性まで考えれば、少なくとも隣接の自治体の状況は把握しておくことが必要です。

何を言いたいかというと、主体と目的によって必要となる情報は異なるということです。
これについては、災害が起きる前でも起きた後でも同じです。
自分の、あるいは自社にとって何の情報が必要になるかということを整理しておくことが大切です。