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2016.12.27

緊急時に必要な情報とは?会社でも役立つ!いざという時の組織力が高まる

第6回 ICS14の特徴

さて、それではさっそく、ICSで書かれている危機対応の基本的なルールのうち、非常に象徴的とされている14の特徴について解説します。

ICSは、FEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)によって、教育プログラムがレベル別に定められていますが、FEMAではICSの特徴を次のように整理しています。

  • 統一された用語の使用(Common Terminology)
  • 権限の委譲ルールの明確化(Transfer of Command)
  • 指揮命令系統の統一(Chain of Command & Unity of Command)
  • 複数組織が関与する現場での統一指揮(Unified Command)
  • 目標による管理(Management by Objectives)
  • 災害対応計画(Incident Action Plan)
  • 事案規模に応じた柔軟な組織編制(Modular Organization)
  • 監督限界(Manageable Span of Control)
  • 統合された資源管理(Comprehensive Resource Management)
  • 統合された空間利用(Integrated Facilities Management)
  • 統合された通信システム(Integrated Communications)
  • 情報処理マネジメント(Information and Intelligence Management
  • 説明責任(Accountability)
  • 人員、資機材の投入(Dispatch/Deployment)

それぞれの特徴と、各現場に当てはめた時に、決めておいた方がいいチェック項目をまとめています。

■用語の統一「Common Terminology」

まずは、用語の統一「Common Terminology」について。ICSでは、組織の機能や、対応施設、資源、職位については共通用語を使うことを定めています。なぜでしょう?

それは複数の組織が連携する上で、こうした用語が共通化されていないと、混乱を招いてしまうからです。例えば、自分の組織では、本部長、部長、班長、係長、主任と呼び方を決めていたのに対し、別の組織では部長、課長、準課長、班長など、職位の名称が異なっていたら、連携する上で、誰の下についたらいいのか混乱してしまいますよね。また、施設についても、例えば、ある組織が、東京にある施設を「T1」、新潟にある施設を「N1」などと略した呼び名で使っていたら、災害対応で連携する場合、他の組織に「T1に行ってくれ」と言ってもおそらく通じません。ですからICSでは共通用語について、意思疎通能力の向上に不可欠であると強調しています。

会社ならどうでしょう? 日常的には、役職の名前や施設の名前が統一されていないなんてことはまず無いでしょう。でも、会議などで、資料にしっかり名称がついていなくて混乱したようなことはございませんか? 会議が度重なるたびに、資料が多くなり、「事業計画書」「売上計画書」「事業戦略計画書」「マーケティング計画書」など混

乱し、しまいには「あの時の資料を持ってきてくれ」「あの時の資料って何ですか」なんていう会話が飛び出すことに。極端な例ですが、こうした資料1つ1つも名称をしっかり決めておくことが重要ですね。特に、普段一緒に仕事をしていない異なる部門や関連会社との会議などでは、用語の統一というのは特に気を付けるべき点だと思います。

<チェック項目>
  • 役職の名称
  • 場所や施設、施設などの名称
  • 計画書や各マニュアルの名称