

2017.02.20
緊急時に必要な情報とは?会社でも役立つ!いざという時の組織力が高まる
第7回 権限委譲のルールの明確化(Establishment and Transfer of Command)
次に権限委譲のルール(Establishment and Transfer of Command)について。 災害では、発災当初から、対応にあたる組織の指揮機能が明確に確立されていることが求められます。しかし、せっかく指揮機能が確立されていても、部隊が入れ替わるなど、災害対応にあたる指揮者が移動するような場合は、災害対応に空白の時間が生まれかねません。そこで、ICSでは、指揮者が入れ替わる時、安全かつ効率的に対応が引き継がれるように、配慮すべき点を細かく定めています。
例えば、最新の災害情報に更新されているか確認する、可能であれば災害地域を示すできだけ大きな地図や表を用意する、何を言うべきか自分の意見をまとめておく、「災害ブリーフィングフォーム」を作っておく、以下はブリーフィング時にカバーしておきたいチェックリストの例です。
<チェック項目>- 最新の書式のコピーを交代指揮官に渡せるようにしておく
- 地図や表など、被災地域や詳細を説明できるようなものを使用する
- 現状況を説明する(災害状況マップのようなものを見たままに塗りつぶす)
- 初動対応の目的と優先順位を説明する
- 現状の行動や作戦を議論する
- やろうと計画していたことを復習しておく
- 自分の築いた組織について復習しておく
- 自分の考えておいた組織改編について議論する
- 現場でどのように援助資源を活用したか復習しておく
- 援助資源をどのような流れで調達し、計画した行動をどのようにサポートしたのか概要報告を準備する
- コミュニケーションの状況を与える
- 災害の全体像評価をまとめておく
ここまで決めておかなくてもいいのではないかとも思いますが、このように整えておくことで指揮官が替わった際でもクオリティを下げることなく災害対応が引き継げるようにしているのです。
さらに厳しい言い方をすれば、災害対応では誰もが指揮者になり得るということです。最初の部隊が現場に到着した時点から災害対応は始まります。現場に居合わせたのが、末端のスタッフだったとしても、他の応援部隊が来るまでは、居合わせたスタッフの中で指揮者を決め、対応に当たらなくてはなりません。「誰もが指揮者になり得る」。こんな当事者意識もICSを考える上で、とても重要なキーワードになると思います。
こんな当事者意識もICSを考える上で、とても重要なキーワードになると思います。
もちろん、日常的な会社の業務にといても、リーダーは、いつでも業務を引き継げるように準備しておく必要があります。そしてリーダー以外の人は、いつでもリーダーになり得る自覚を持って業務に取り組むことが理想です。