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Column コラム

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2017.03.06

緊急時に必要な情報とは?会社でも役立つ!いざという時の組織力が高まる

第10回 災害対応計画(Incident Action Plan)

災害対応計画(Incident Action Plan)は、ICSにおいて不可欠なものと言っていいでしょう。あらゆる危機対応を進める上で、口頭であれ、書面であれ、計画が必要になります。ICSでは、この計画をIAP(Incident Action Plan)と呼んでいます。様式が統一されていないと災害対応において混乱を招くため、ICSでは、災害対応にあたるあらゆる組織が統一化されたIAPを作ることを求めています。

企業で事業継続計画を策定されている方なら「あぁ、BCP(Business Continuity Plan)のことか」と思われるかもしれませんが、少しニュアンスが違うようです。BCPは、被災時に備え、あらかじめ事業継続の手法などを策定しておくものですが、IAPは、災害が起きた後、実際にどう対応にあたるのかを定めるもの。事前計画(受け身の状態)ではなく、目の前に起きている災害にどう対応するか(攻めの状態)へ、体制を変える上で不可欠なものです。

具体的には、災害対応にあたる関係者に対して、いつの時点までに何を達成するのか、そして、どのような資源を使うかまで明確にします。したがって、達成すべき目標を記載した目標シート、組織構成をどうするかを示した組織図、組織ごとの行動計画、人材や資機材の割当表、その他、通信計画や、医療計画、地図、輸送計画なども加えられます。

えっ、事前計画があるなら、その通りやればいい」と思われるかもしれませんが、危機というものは、残念ながら、想定した通りに起きてくれないことは、東日本大震災をはじめ、過去に何度も経験しているはずです。どこまでが想定通りなのか差はあるにしろ、やはり目の前に起きている事象に対しては、対処方針・計画を新たに考える作業 が必要になります。だからこそ、特に組織のトップ、現場の指揮者には、計画通りに動けるようにするだけでなく、新たに起きている事態にどう対応するか、プランニングする能力が必要になるのです。 重要になってくるのは、「時間の区切り」という概念です。災害対応は長期化します。したがって、当面の計画でも期間を決めて行わないと、担当者はばててしまいます。このような時間の区切りをOperational Periodと呼びます。ICSでは、アルファベットのPの字を象徴的に使って災害対応が表されますが、Pの字の左下の棒の下の部分から災害対応は始まり(災害が起きるということが出発点)、その災害が起きたことに気付き、状況を分析して、ミーティングを開いて最初の対応方針・計画を決め、後は、Pの字の右の丸い部分を、ミーティング⇒対応⇒改善と、ぐるぐる回っていくというわけです。 つまり、災害対応においては、定期的に継続的に対応をマネジメントしていくことの重要性を示しているわけです