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Column コラム

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2017.03.22

緊急時に必要な情報とは?会社でも役立つ!いざという時の組織力が高まる

第12回 監督限界(Manageable Span of Control)

監督限界(Manageable Span-of-Control)は、危機対応時に管理者が報告を受けられる人数の限界について示した概念です。ICSでは、1人の管理者が報告を受けられる人間の限界数を3人から7人、できれば5人が最適と言っています。変なことまで決めているものですね。この話を最初に聞いた時は、私も何を言っているのか、さっぱり意味が分かりませんでした。

このSpan-of-Controlが意図することは、災害が発生しているような緊急時に、多くの人が一斉に1人の管理者に報告をしたら、その管理者は情報を処理しきれなくなって、正しい判断が下せなくなる恐れがあるということです。皆さんの組織でも、本部長の下に、いくつも災害対応班が並列で連なっているようなところはあるのではないでしょうか。もちろん、それらが機能しないと言っているわけではありませんが、Span-of-Controlの観点から、一度、体制の見直しを検討してみてもいいかもしれません。

統合化された資源管理:(Comprehensive Resource Management)

次に統合化された資源管理:(Comprehensive Resource Management)について解説してみたいと思います。 危機対応に必要な「資源」とは何でしょう? 人、資機材、飲み物や食べ物、被災者への支援物資、災害対応なら瓦礫類を型付けられるブルドーザーなどの特殊車両、人を救出できるヘリコプター…、いろいろありますね。しかし、普段顔も合せたことがないような異なる組織が、それぞれの資源を持ち寄って災害対応にあたったらどうでしょう? しかも時間的にもバラバラに災害現場に搬入されたり持ち出されたりしたら…。

例えばヘリコプターについて考えてみましょう。東日本大震災では、消防のヘリ、海上保安庁のヘリ、自衛隊のヘリ、DMATのヘリ、警察のヘリなどさまざまな組織のヘリコプターが、災害現場の上空を飛びました。それぞれがバラバラに飛んでいたら、効率的な災害対応は行えません。 3.11では、県などの中間自治体の災害対策本部にヘリ統合運用班を設けて、各組織のヘリコプターの運用を統合管理したところもあります。

支援物資についても、いろいろなトラックが勝手に被災地に支援物資を運び入れたのでは大変です。その時々に、不足している物資を、不足している場所へ効率的に運ぶために、やはり統合的な管理が求められます。