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Column コラム

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2017.06.05

緊急時に必要な情報とは?会社でも役立つ!いざという時の組織力が高まる

第17回 おわりに

さて、ICSについて原則とも言える特徴について説明してきましたが、実際のICSでは、この特徴に基づいて、具体的に組織構造のことや、計画の策定方法、説明方法、現場指揮者やスタッフの責任や役割などが細かく説明されています。言い換えれば危機対応の「ルールブック」です。しかし、これをそのまま、日本にあてはめることは、現実的ではありません。重要なのはこれらの特徴を踏まえ、自分たちのルール、情報収集、共有のルールを自分たちで作っていくことだと思います。

私がICSを学んで良かったと思ったことは、いろいろな災害や事故対応を検証する上での評価軸ができたことです。災害だけでなく、事故や不祥事への対応を見るとき、あるいは自分がちょっとしたトラブルに直面した時、ICSの考え方に照らし合わせるとどうなんだろう、と客観的に考えることができるようになりました。指揮系統はどうだったんだろうか、情報はどこまで把握できていたのか、計画の作り方に問題があったのではないか等々。検証ができるようになれば、改善を行えるようになります。災害や事故の歴史を積み重ねていく上で、同じ間違いを繰り返さないようにするためにも評価軸が重要になります。ICSは危機対応から教訓を導き出し、再びおなじ過ちを犯さないようにしていく、改善のツールでもあると思うのです。

情報についても同じことが言えます。どのような情報が必要かということは、実際に災害を経験してみないと分からないかもしれません。頭がパニックになり、何も考えられずに、何が起きているかも把握できないまま、時間が経過していくわけです。だからこそ、事前にどのような情報が必要になるのか、どうその情報を流すのか、どう共有するのかをしっかり検証し、ルールとして決めておく必要があると思うのです。